エンタメちゃんぽん

エンタメ総合雑記 / アイドルネイティブな私たち 拡大版

<Tommy february6>はどこへ行ったのか

地元のダイエーにあるサンリオショップ、その店頭に佇む小さなモニターの中に流れる映像を見ることが私は好きだった。


画面に映るのはサンリオの有名キャラクター"キキララ"と、マイクを片手に歌う綺麗なお姉さん。



まだ小さかった私にはその人が誰だか判別さえついていない。けれども、うっとりするようなサウンドと女の子の憧れを全て詰め込んだかのような可愛らしい世界観、サラつやストレートヘアーにオレンジのダテ眼鏡という象徴的なビジュアに私は虜になっていく。小学生だった私にはそこに映る全てが一点の曇りもなく魅力的に見えていた。



この時私が見ていた映像に映っていたのはTommy february6。ある一定の世代の人にはメジャーで懐かしい存在だろうthe brilliant greenのボーカルである川瀬智子のソロプロジェクトとして活動するアーティストだ。(対になるものとしてTommy heavenly6という存在もある。)


そのアーティスト名だけを聞いてもピンと来ない人は少なくないだろう。けれども、楽曲を聞けばその存在をイメージしやすくなるはずだ。


アーティスト活動が活発だった頃には、米倉涼子主演で放送されていたドラマ『奥さまは魔女』の主題歌「MaGic in youR Eyes」、『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 裂空の訪問者 デオキシス』の主題歌「L・O・V・E・L・Y 〜夢見るLOVELY BOY〜」等、有名な映像作品とのタイアップも何度も行っており、おそらく多くの人は一度はその楽曲を耳にしたことがあるのではないか。



Tommy x Pikachu! Live



the brilliant green - There will be love there -愛のある場所- (live)


(ヘヴンリーの方は銀魂の主題歌にもなってたんやで…)


Pray Tommyheavenly6



もしかすると、いや、もしかせずともここまでを読んで「あー、いたなこんな歌手」、とか「この曲懐かしい」などと感じてその存在を思い出した、という人が多数だろう。そりゃそうだ、ここ数年昔のように頻繁に楽曲を披露することも、リリースすることもない。だから今の彼女については知られていない、又は忘れている人が多くいて当然だ。



前述したように、私は小さい頃Tommy february6(以下、長いのでトミーとします)のファンだった。そして現在進行形で彼女の活動を追い続けている。ずっと彼女だけを見てきたわけではないが、興味や関心は持ち続けてきた。では、曲も出さないメディアにも出ない、そんな、私が見ている今の彼女は一体何を生業にして生きているのか。



“少し前まではバースデーライブとかも未だやってはいたけれども、今はそれさえ気配なし。人気ブランドのMILK FEDとコラボして、お洋服ばかり売っています。”


このように言ってしまうと、傍から見れば彼女の今の行動は「アーティストの小銭稼ぎ」のように思われるだろう。本当のことを言うと、実際私も少し前までそのような視線を持ってトミーの取り組みを見ていた時期があった。


しかし、彼女のプロデュースするアパレルアイテムを見ていくうちに一概にそうとも言い切れないことにある日気づいた。



受注生産限定で販売されているショルダーバック一つとってみても、小さくきれいにまとまってはいるものの、収納スペースがたくさんついており、500mlのペットボトルも入れられる優秀っぷり。トミーらしいフェミニンな色使いだけでなく、男性でも使いやすいよう、カジュアルダウンしたデザインverも用意されていた。


ありそうでなかった、でもどこかで「あったらいいな」と思っていた。そんな痒いところに手が届くアイテムを、彼女は自らの世界観の中に落とし込んでいたのだ。だからぱっと見ただけでは気が付けなかった。


彼女がとった「行動」だけを表面的になぞって見ると、それは片手間でやっているファンに向けてのアパレル事業だろう。だが、実際に作られているプロデュース商品の機能性や魅力はそれに留まらない。


そして、トミーと同じような存在を私はもう一人知っている。


佐藤すみれAKB48SKE48に所属していた元アイドルだ。彼女のことも現役時代から応援しており、今でもSNSのアカウントはチェックし、一度イベントにも足を運んだ。ゆるゆるとその動向を見続けている。


佐藤すみれ(以下、すーちゃん)も、最近はカフェとコラボしてスイーツメニューをプロデュースしたり、自分の好きな系統のお洋服を企画したりとクリエイター業に精を出していた。アイドル時代から自分の芯や見せ方を曲げずに活動していた印象があったが、彼女は自身が持つそういった強みを活かし仕事に繋げている。


少し前に、SNSでアイドル時代を知るファンから「何をやってるのかわからない(笑)みたいなことを言われた」(ニュアンスなので多少言葉が違うかもしれません悪しからず)というようなことを言われていると発していたが、そんな風に言ってしまいたくなる気持ちも分からなくはない。それくらい佐藤すみれは今、多方面でクリエイターとしての才能を開花させている。


佐藤すみれトミーフェブラリー、今回取り上げたこの二人に共通しているのは、彼女たちが自分やファンが満足するだけのものに留まらず、普遍的に"欲しい"と思ってもらえるようなモノづくり、を成功させているところだ。


自分たちの大切にしている世界観や実現したいイメージを形にする、もちろんその思いは全ての根底にあるだろう。だが、結局、それが意図しない人の利益にまで広がって、その人の生活をよりよいものにしていたり、他の誰かの役に立つ一品として愛されていたりする。そんなことを彼女たちは可能にして、そうやってお金を稼ぎ、生きているのだ。



ここ数年、ネットメディアから人気を得た人物が自らのブランドを立ち上げたり、どこかの企業とコラボして商品を企画する動きも少なくない。そういったインフルエンサーマーケティングがビジネスの一つの形として成功しつつあるこの頃だ、彼女たちの取り組みがそれらと一緒くたに考えられてもおかしくないし、それらと重なる部分が無いとは言い切れない。


けれども、それらとはっきりと違っていることがある。彼女たち(トミー/佐藤すみれ)は、自分たちが今までのキャリアの中で大事にしてきた主張や好みを守り続けて、それを形に変えている。例え、これまでしてきた活動内容とは違うことを今の主な仕事内容としていても、彼女達が大切にしてきたものはどこへも行っていない



そんな人たちを表すにふさわしい日本語がないから、「何をやってるのかわからない」と印象づけられてしまうのだろう。わからなくて当然だ。彼女たちがやっていることは、たぶん今ある職業の中に留められない。今ある言葉で表せるような生き方をしていないのだから。


特に、佐藤すみれのやろうとしていること、今回私が簡単に説明した内容に関してはこの本に詳しく載っているのでぜひ読んで欲しい。この本を読んで、自分が持っていた彼女達(トミー/すーちゃん)の活動への印象とリンクする部分があったため、この記事を書くことも決めた。他の人の部分も面白い。




今でさえ何に向かっているのかわからない、きっとこれから先だって、まだまだどこへ進むのかわからない。だけど。まだ見ぬ未来を楽しみに、とりあえず私はそこへついていってみようと思う。


自由に道を切り開き、歩いていく姿がとてもかっこいい。彼女たちの進む道は、彼女たちがつくる世界はきっと今より、広く明るく輝くだろうな。